Ciao!今回は、管理人の学士卒論のテーマにもしたプロ・ロコについてご紹介します。
プロ・ロコとは?
プロ・ロコ(Pro Loco)とは、イタリアの非営利ボランティア団体の一種。語源はラテン語の「a favore del luogo(地域のために)」から来ており、地域に根差した活動をする私的機関です。協会の規模は小さいことが多いですが、イタリアのテリトーリオ文化においても欠かせない存在と言えるでしょう。
プロ・ロコの歴史は古く、1881年にトレンティーノのPieve Tesinoで誕生した植林事業を行うグループが最初のプロ・ロコ団体と認定されています。その後、徐々にイタリア全国に広がり、1962年には全国イタリア地方観光振興機関(Unione Nazionale Pro Loco d’Italia/UNPLI)が誕生し、2022年には60周年を迎えました。2018年のUNPLIの記録によると、加盟数は6200団体、会員は60万人、参加ボランティアは30万人にも上るそうです。コムーネ(自治体)の数に対してプロ・ロコの数が一番多いのはウンブリア州で、多くの村で活動が活発に行われています。UNPLIの主なミッションは「Valorizzazione e Promozione del Territorio(テリトーリオの有効活用とプロモーション)」です。
会員は地元民だけではないので、日本でいうところの町内会&観光協会&ファンクラブ・サポーターズクラブといったところでしょうか?半年ほどアッシジのプロ・ロコに参加していますが、活動範囲がかなり広く、活動的な町内会のイメージです。若い人や女性の参加者もいますが、高年齢化が進んでおり、地域が抱える問題点は日本と同じように思えます。
議決権がある正式な各地のPro Loco会員になるとしても年間10ユーロ程度です。その他、多くのボランティアが在籍しています。ボランティアも完全に無償というわけではなく、かかった費用の還付という形での有償ボランティアもあります。地域のいろいろな人と出会えることもあります。参加してみるのも面白いですよ。
なお、ツーリズムEXPOジャパン2024にはUNPLIとしてENIT(イタリア政府観光局)内の1ブースに出展するそうです。
主な活動内容
多くの協会が「Associazione Turistica(観光協会)」を名乗っている通り、地域プロモーションを主なミッションとした地元の観光協会の性格も持っています。各州の観光に関する条例にはプロ・ロコに関する条項があり、観光分野においてのその役割が定義されています。しかし実際の活動範囲はもっと広く、観光を促進させる文化活動の他、公共の福祉に関する様々なことを行っています。方言の保存活動、文化財や伝統の保護、歴史の勉強会など文化教育活動もそうですね。また、イタリアに在住する18歳~28歳が参加できる代替役(Servizio Civile)の受け入れも行っています。
お祭り・フェスタ
プロ・ロコと聞くとサグラ(Sagra)やフェスタ(Festa)の運営者を思い浮かべる人がいるように多くのプロ・ロコが地元のお祭りを主催・運営しています。サグラとは、一種の感謝祭で地元の特産品や聖人を対象としたお祭りです。その地域の伝統とアイデンティティを表していますので、機会があったら参加してみると良いでしょう。
観光案内
多くの場合は自治体が地域の観光案内所を運営していますが、自治体の目が届かないような小さな集落ではプロ・ロコがその役割を担っていることがあります。どうしても地域の情報が手に入らない場合、地域のプロ・ロコに連絡してみるのもアリですよ。「地域名+Pro Loco」で検索するとHPやFacebookのアカウントが出てきます。
その他の観光面でいうと、トレイルルートの保存や地元の博物館の管理運営を行っていたり、観光ガイド代わりの人材の派遣をしてくれることもあります。
文化遺産の保存
地域にある文化遺産の修復を主導したり、特に無形文化遺産の保護活動についてUNPLIはUNESCOから認証を受けています。
まとめ
今回はプロ・ロコについて解説しました。管理人のペルージャ大学の学士卒論においては、ウンブリア州のプロ・ロコの実態を調査しました。プロ・ロコは地域を愛する人々が参加するボランティア団体で、テリトーリオ内の重要なネットワークのひとつです。イタリアの地域社会に興味があってインターンシップがしたい場合は、相談してみると良いインターン先を紹介してもらえるかもしれません。また、機会があるとプロ・ロコに参加してみるのも面白いですよ。
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