先日、無事にペルージャ大学観光経営学科(学士/triennale)を卒業できましたので、その経験をご紹介します。
Prova finale(最終試験)とは?
学部にもよりますが、基本的に卒業論文の執筆と口頭試問によって構成されています。
卒論(tesi di laurea)の長さやフォーマットなどは、各学部・コースにより細かく規定されているので、早めにチェックしておきましょう。
管理人の場合、30ページ前後という指導でしたが、最終的に43ページになりました。
いつ卒業できる?
年に3~4回チャンスがあります。2022/23年度のペルージャ大学の観光経営学科の場合は、2023年7月・2023年10月・2024年2月・2024年4月に設定されています。
日本のように、春と秋の2回、みんな一緒に卒業式とともに卒業ではありません。
早い人で3年生の夏、以降は順次、自分の都合に合わせて卒業となります。なお、最終セッションに間に合わなかった場合は、留年(fuori corso)として、翌年度の登録・学費の支払い義務が発生します。
ちなみに、学生用滞在許可証の更新については、最後の卒業予定日で終了ではなく、10月までの1年間分が発行されました。
スケジュール
Discussione(口頭試問)の開始予定日を基準に考えます。
なお、締め切りは各大学・コースによって全く違いますので、注意してください。
~2か月前くらいまでに卒論の指導教員(relatore)にメールで指導を依頼します。
・事前に会話もして、内容に合意した上で、メールに卒論テーマ・タイトルを記載して正式に依頼する感じです
・取り上げたいテーマを専門にする教授、試験の成績が良かった科目の担当教員から選びましょう
45日前までに必要書類を揃えてDomanda(申請書)を提出します。
例えば、
・Relatoreのサイン付き卒論タイトル申請書(必要に応じでCorrelatoreのサインも必要)
・AlmaLaureaのアンケートに回答した受領書
・DLできる自己成績証明書
などが必要です。
20日前までに卒論決定稿のPDFを大学のオンラインシステムにアップロードして提出します。
・一度提出すると、以降の変更は不可です
10日前までに指導教員がオンラインで提出した卒論を承認or否認します。
当日までにプレゼン用Power Pointでスライドを用意します。
なお、申請書提出の時点で卒論以外の全試験を終えている必要はありませんが、Discussioneの20~10日前までに合格している必要があります。
管理人の場合、卒論決定稿の提出期限がパスクア休暇の最終日で最後の1週間は教授と全く連絡が取れなくて焦りました。定期的に下書きなどはメールで添削依頼していたのですが、なかなか読んでくれないし、指導も少ないしと焦りしかありませんでしたね。
基本的には、締め切り厳守です。しかし、うちの指導教員の場合のようにOKが出るまでアップロードしないように&締め切りは過ぎてもOKという指導の場合は、事前に学生事務局に相談しましょう。結果、締め切りも大幅に過ぎて、管理システムに学生側からは卒論をアップロードできない状態でしたが、学生事務局側で手続きが行われ、最終的には予定通り卒業できたので助かりました。
当日
卒業予定者の家族・親戚・友人・関係者などが見守る中、まず、指導教員による簡単な内容の紹介の後、10分間の卒論に関するプレゼンテーションを行い、その後、簡単な質疑応答が行われます。なお、口頭試問は学部長・指導教員・他5名の試問委員会に対して行われます。
卒業予定者全員の口頭試問が終了したら、一人ずつ最終成績の宣言を受けて、その場で卒業&解散となります。
卒業式はありません。式らしいのは、最終成績の宣言セレモニーくらいでしょうか。
宣言を受けた後は、その場にいる試問委員会の教授陣と握手するのを忘れずに。
その後は、個々で校舎内や玄関で写真を撮ったり、シャンパンで乾杯したりとお祝いが続きます。
もちろん、一人で参加してもOKですよ。
管理人も一人で参加予定でしたが、卒論テーマにした協会の関係者が来てくれてお祝いしてくれました。
卒業関連の費用
卒業申請費
- 学位記(Pergamena di laurea)が欲しい場合は、132ユーロ
- Pergamenaなしの場合は、16ユーロ
Pergamenaは後からの購入も可能です。
卒論の製本代
管理人の場合は4冊分製本しました。
(自分用・家族用・指導教員に渡す分・卒論でお世話になった協会に渡す分)
・表紙&製本代:26ユーロ×4
・4冊分の印刷代(約55ページ):カラー13ユーロ、白黒8ユーロ
合計:125ユーロ
時間もないし、初めてのことだったので、大学の近所にあるコピステリアにお願いしました。カバーも様々な種類があり、執筆ページ数や製本方法によっては、もっと高額になります。また、オンライン卒論印刷の場合、もっと安くできるところもあります。
製本するべき冊数は、コースによって規定がある場合もあります。しかし、現在はPDFで提出するのが基本ですから、製本しないという人も多いかもしれませんね。予算に合わせて検討してみても良いでしょう。
服装
各コースの卒業規則に特に指定がない限り、フォーマルでもインフォーマル・普段着でも、色も自由です。他の学生のご家族も来るのである程度TPOは考えた方が良いですが、結構カラフルで華やかですよ。
上下スーツの場合が多いようですが、ワンピースや袴なども、もちろんOKです。所属しているコースのインスタやFacebookなどを見ると参考になるでしょう。
家族・親戚などが用意するもの
イタリアでの大学卒業のお祝いで定番のものです。
- 月桂樹の冠
- 花束
- シャンパン
学位記
日本のように、卒業と同時に自動的に授与されるわけではありません。
学位記(Pergamena di laurea)が欲しい場合は、学生事務局に別途購入申請する必要があります。管理人の場合、卒業申請時に依頼していたため、約1か月後にイタリアの自宅に郵送されてきました。結構大きく、ポスターくらいのサイズです。
就職活動や進学には、大学のWebシステムよりDLできる自己証明書や学生事務局が発行する通常の卒業証明書を提出します。
最終成績(Voto finale)
イタリアにおいて新卒で就活する場合や修士(magistrale)・マスター(master)などに進学する場合に大きな意味を持ちます。
最終成績は、これまでの試験結果の得点×CFUをベースにした加重平均点をベースに、Prova finaleの得点やボーナスが加算されます。110点満点で評価され、Lodeがつくこともあります。
例として、ペルージャ大学観光経営学科の場合をご紹介します。
- Prova finale:0~4点
- ボーナス
- 在学中に外国に留学して20 ECTS以上取得したらプラス1点
- 試験で3つlodeを取るごとにプラス1点。余った分はプラス0.25 点。
- 在学期間によるボーナスがプラス0~3点。In corsoで卒業の場合は3点。Fuori Corsoの場合は、長さに応じて月単位で計算されます。
- 平均点によるボーナス。最終成績の出発点であるmedia ponderata di laureaが85~108点の場合、0.5~3点が加算されます。
管理人の場合、
・Media ponderata di laurea:100.438点 (1教科の加重平均は27.392)
・留学ボーナス:0点 (留学していないため)
・Lodeボーナス:2点 (6教科で30 e lodeでした)
・在学期間ボーナス:3点 (3年生の最終セッションで卒業)
・平均点ボーナス:2点 (100-105点の場合は2点追加)
・Prova finale:4点
以上、Voto finale:110 e lode(合計111.438点?)
計算方法は結構複雑です(笑)Media ponderata di laureaとVoto finaleは大学の管理システムでわかるのですが、他の点数はあくまで推定です。ボーナスを含めると最終的に10点近く追加することも可能ですね。
各コースの入学した年のManifesto degli studiに評価方法や計算方法についての記載が必ずあるので、確認してみましょう。Prova finaleの点数やボーナスの規定は各大学やコースによっても全く違います。
卒論指導について
これは、教授によるところが大きいと思いますが、きちんとコミュニケーションをとることが大切です。管理人の指導教員の場合、締め切りや進捗管理に関する指導は何もなく、最後にちょっと内容の修正点を指示してOKといった感じでした。面談もなく、基本的にメールでの相談ばかりでしたね。ですので、こちらから積極的に連絡をしていくことをおすすめします。各段階でOKを貰うだけでも安心できますよ。内容に関しても、学士課程ということもあり、残念ながらあまりきちんと読んでくれてないという印象です。
まとめ
今回は、イタリアの大学卒業と卒論について管理人の経験を赤裸々に解説しました。思った以上に労力と費用が掛かる卒業ですが、達成した時の感動はひとしおです。親戚や友人が集まる人生の中でも重要なイベントですのでしっかりと準備して臨みましょう。しかし、口頭試問まで辿り着いたら、よっぽどのことがない限り不合格はないでしょう。卒論を紹介する場といった気楽な雰囲気でした。卒業したらdottoreの仲間入りですよ!
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